丸紅元会長 勝俣宣夫さんの言葉
「大事は理、小事は情をもって処す」との言葉は経営者の判断において根本的な心構えと言える。
「リーダーたる者は、小さな事は人に対する情けを優先して対処しても良いが、大きな事は理(道理)を優先して対処しなければならない」という意味です。
奥深い言葉ですが普段から出来ているのかと、胸に手を当てて思い返すと、そのように判断できていないことも多々あります。
時に大事を情で判断してしまい、後に痛い目に合う事も珍しくありません。今一度心に留めたいものです。
大事・小事とは?
何を以て「大事・小事」「理・情」と考えればいいのでしょうか。
私はいつもこのように考えています。
「大事」とは前進出来ない事。
「小事」とは躓いた事。
「理」とは道理。
「情」とは慈悲。
小事の実例
例えば、社員がある不始末を起こしたとします。不始末そのものは躓いただけの事なので「小事」。その不始末に対して社員にただ罰則を与えるのではなく、何故そのような事になったのかを諭し、どうすれば不始末を防止できるのかを本人と一緒に考え、さらに迷惑を被った他の社員が”許す心”になる手法を考え実行します。
IMSグループの実例では、重要な会議に社員が遅刻(忘れていたとか寝坊したとか等の不注意であった場合)したとします。この時、次からは遅刻しないための施策を本人と一緒に考え講じます。
これだけで終わると本人の心に深く刻まれない上、会議の席に早くから準備し到着していた他の社員の不愉快さが解消されません。
そこで迷惑をかけた他の社員に対し、”昼飯を御馳走する”といったような手法を提案します。そうすると他の社員から「ごちそうさまでした!また遅刻してね!」と言われ本人の心に深く刻まれることになるのです。
大事の実例
例えば、未入金事故のケースです。お金が入ってこなければ企業は止まってしまう事になるので「大事」。だから何を差し置いても最優先事項として命を懸け回収作業に当たります。
IMSグループの実例では、経営幹部の怠慢で顧客からの入金が3か月間にわたり無いといったような事態がありました。この時、感情が先立ち「回収できなければお前が弁償しろ!」と言ってしまったのですが、よく考えると「大事」に対しは「理」を持って対処しなければいけない事に気づき、私自身が直接陣頭指揮を執って全額回収しました。
その後、この経営幹部に対する罰則は勿論ありません。???
何故かというと、怠慢そのものは「小事」であるので「情」を以て注意勧告となりました。しかし私自身が直接陣頭指揮を執り命を懸けさせるような大事態を招いてしまった事で、この経営幹部の心へ深く深く刻まれた事でしょう。
小事・大事この二つの実例はIMSグループ内における、ほんの一例にすぎませんが現に、同一人物による事態発生が無くなった事もここに書き留めておきたいと思います。