「トンデモ会社」の存在
交通誘導を主体とする警備会社の顧客の極一部ではありますが、最初から金を払う気のない「トンデモ会社」が存在するのです。
この「トンデモ会社」には幾つかの特徴があるのでご紹介します。
この話はすべて事実ですので、参考にしてください。
A社(リース会社)のケース
もう20年以上前(1998年)の話ですが、豊洲埠頭にあったA社(リース会社)から突如警備の依頼がありました。
当時、豊洲埠頭の大規模工事に伴ってゼネコンから警備を請け負っていました。
このゼネコンに車両などをリースしていた会社が、このA社です。
顔なじみという事もあり、早速警備内容についてお聞きしたところ、A社敷地内に置かれた数千台の車両が盗まれないよう保安をして欲しいという事でした。
期間は7日。出入口は一か所しかないので営業時間外の夜間のみ。
ここで”ピン”と来ないとダメ
さあ、どこに疑問が浮かばなければいけないのでしょうか?
それは”期間が7日”と言うポイントです。
不思議に思えない人は、きっと殺られます。
そもそも盗まれないための警備なのに、7日間だけというのはおかしな話です。
「どうして7日間だけなのですか?」と質問してみると、しどろもどろの回答。
どうもこれは怪しいと感じ、「前金でお願いします!」と返すと、
「いや~本社の許可が取れないんで~」「何とかお願いできませんか?」と。
「では7日目の勤務終了直後のご集金では?」と聞き返すと、
「あ~それでお願いします」という事になりました。
さあ、この後一体どうなったのでしょうか?
当然7日目の勤務が終了した朝7時に、集金に行ったわけです。
無論この7日間もとりっぱぐれの警戒のため、近くでゼネコンの警備をする警備員にも「変な様子があったら直ぐに連絡するように!」と指示済みだったわけです。
なんと集金に行くと、「集金は明日にしてもらえませんか?」と。
「わかりました」「では担保に高級車1台お預かりします!」と返すと、渋々事務所奥の金庫からお金を取り出し、支払っていただきました。
これで何事もなく業務完了です。
翌日、近くでゼネコンの警備をする警備員から、「大変です!リース会社の敷地がもぬけの殻です!夜逃げしたようです!」との一報が入ったのです。
「あ、そう、了解!」「”トンデモ”会社はやっぱり”飛んでも”会社だったのね」
後日わかった事ですが、この総合リース会社は当時破綻した大手金融機関の系列で、2兆3000億円の負債を抱えて倒産したのです。
どうでもいい話ですが、最初から8日目に夜逃げをする計画だったわけです。
こんな話は他にも山ほどあるので、またお話しします。