警備会社のつくっているもの
松下幸之助(松下電器・現パナソニックの創業者)の有名な指導があります。
得意先から「松下電器は何をつくるところか」と尋ねられたならば、「松下電器は人をつくるところでございます。あわせて電気製品をつくっております」と、こういうことを申せと言ったことがあります。
出典『松下幸之助一日一話』
警備会社は業種として、一応サービス業に分類されています。
確かに警備会社はモノをつくっているわけではありません。
”警備”というサービスを提供しているのです。
”警備”を実施するのは人間ですので、詰まるところ人をつくっているのです。
あわせて”警備”というサービスを提供しているのです。
すべての業界が、「人をつくっている」との自覚が大切なのではないでしょうか。
どうして人は会社を辞めるのか?
まず日本国憲法第22条第1項において「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と規定されています。
だから会社を辞め、転職するのは個人の自由です。
私の場合、仕事内容は大好きでしたが東芝を7年で辞めました。
辞めた理由は何だったのでしょうか?
端的に言うと私の場合、いくら努力しても「社長になれない」という事が理由でした。
社長になりたいのに可能性が限りなくゼロならば、人生が無駄になります。
「思い立ったが吉日」で、誰にも相談することなく退職届を提出。
ところが上司に退職届を提出した後、同僚の全員が祝福してくれたのです。
何故でしょうか?人気者でもないし、後先考えない若輩者に。
送迎会では同僚たちの祝福メッセージを添えた寄せ書きまで頂きました。
(今も大切に保管しています)
何のために?意味が解りません。
反対にみんなが辞めない(辞められない)理由は何なのでしょうか?
同僚たちが口をそろえて言うのは、”お金”と”生活”だったのです。
寄せ書きにも、そのような趣旨がたくさんありました。
同僚たちに祝福された理由は、その無謀さにあったのです。
ある意味、憧れに近いのか知れません。
根本的な原因は「人間関係」
当時、私自身が「人間関係」にまったく興味が無かったので、論理的に「社長になれない」”解”を導き出していました。
東芝を辞めて間もなく、起業して社長になる事は容易い事でした。
しかし「人間関係」に興味のない経営の行きつくところは会社の破綻です。
路頭に迷うかの如く警備員となったのは、これが根本的な原因なのです。
原因が解れば解決方法は簡単です。
「人間関係」をよく勉強し、経営に活用するのです。
そのためには、人間をよく観察し理解しなければいけません。
相手に同調したり、批判することに何の意味も無いのです。
「この人は何に苦しんでいるのだろうか?」
「どうすれば、その苦しみは楽しみとなるのか?」
経営に必要な「人間関係」は、ただこれだけなのです。