まずは収入と所得の違いから
事業などの場合は、いわゆる売上金額が収入金額になる。
そこから必要経費を差し引いた額が、所得金額になる。
所得金額=収入金額-必要経費
一方、会社等からの給与や報酬の場合、支給総額が収入金額になる。
そこから給与所得控除額を差し引いた額が、所得金額になる。
所得金額=収入金額-給与所得控除額
さらに税金の計算は、所得から各種控除を差し引いた金額の税率分となる。
税額=(所得金額-各種控除)×税率
このように事業者の場合は、必要経費を抑えれば所得金額が増える。
しかし労働者の場合は、収入金額を増やさなければ所得金額が増えない。
ゆえに経営者と労働者の所得に対する考え方は、根本的に異なるのだ。
労働者は収入を増やしたがる
これらの仕組みによって良し悪しは別として、労働者の思考では経営者に成れない。
なぜなら、「収入=売上」を増やすことしか考えられないからだ。
経営者の第一歩は、「所得=利益」を増やすことにある。
これを最低条件として、売上を増やさなければ必ず破綻する。
馬鹿の一つ覚えのように「売上を上げろ!」と吠える経営者がいるとしたら愚かである。
労働者の思考しかない経営者の報酬が、増えることは無い。
売上が上がると利益が上がるという妄想
「損益分岐点」という用語があるが、これは目安でしかない。
単に分岐点を超えなければ、利益が出ないという事に過ぎない。
当たり前の事だが、売上が上がれば必要経費も増える。
えてして売上の上昇率よりも、経費の上昇率が上回ってしまうものだ。
これでは、売上を上げても何の意味もない。
かと言って、無暗に必要経費を抑えればいいという事でもない。
ほとんどの事業において、大きなウェイトとなる経費は人件費である。
人件費を抑えれば利益は向上するが、労働者のモチベーションは低下する。
売上が上がると忙しくなる訳だから、収入を上げてもらいたいと思うのが労働者の常。
そのまま要望に応える経営者は、まことに愚かだ。
ならばどうすれば良いのか?
経営者の第二歩は、「知恵を出す」ことにある。
人件費が大きなウェイトとなる事業には、ある単位が存在する。
一つは最小事業単位。
もう一つは最大利益単位。
人が多すぎても少なすぎても利益は減る。
売り上げ規模も同様である。
この単位をシミュレートできると、事業は合理化される。
つまりちょうどいい大きさが存在する訳だ。
だがこのままだと、労働者の収入は増えない。
だから次に「分散と集中」が必要になる訳だ。
このあたりが理解出来ない経営者は、まだ労働者なのかもしれない。