上手くいかない時には、再度綿密に計画を建て直す必要がある
中堅幹部の計画が思ったように進まない理由については、「計画通りに成果を出す簡単な方法」に詳しく書きましたのでそちらを参照してください。
結論的には、出来なければ”死ぬ”しかない計画を立てれば必ず達成できるのです。しかしそうでない計画の場合、往々にして結果を出せません。
だとすると経営者の場合はどうなのでしょうか。そんな事について考察してみましょう。
なんで計画通りに進まないのか
繰り返しになりますが、中堅幹部編では「目標が高すぎた」とか「イレギュラーが多すぎたから」とかの理由を付けることで、計画通りに進まない事を明記しました。
でも経営者の場合は、この理由(言い訳)が通用しません。誰かに強要されたわけではなく、自身で決めたことですから。
とはいえ、いったい何のため誰のためにそんな計画をしたのでしょうか?
答えは業績向上のためであり株主のためです。大手企業の経営者で業績が下がる計画をする人はいません。また株主の要望や期待に応えるため会社の事業計画を建てます。
ここで実際に目標を達成するのは”誰なのか”に大きな相違があります。中堅幹部の目標を達成するのは自身ですが、経営者の目標を達成するのは経営者自身ではなくその他の社員です。
だから経営者の場合、事業計画通りに事を進めるためには、社員個別の目標が達成される必要があるわけです。
計画通りに進む事は簡単な事である
この時、社員個別の目標つまりノルマが経営者の描いた事業計画にすべてが繋がっていく必要があります。
これを前提として社員個別の目標が50%でも達成されれば、事業計画通りになるよう綿密に調整する必要があるのです。
後は社員個別の目標の推進状況を逐一管理し、取締役やその他幹部を煽って強力に推進させれば、簡単に計画通り進みます。
このように経営者が描く事業計画は、すべて計画した時点ですでに勝敗が決まっているのです。
最初から”負け”の計画をしてしまった事に後から気が付く
計画時に”負け”が決まっているとは、計画推進のプロセスが完成しておらず”行き当たりばったり”か、”何とかなるだろう”というような低レベル思考の計画が原因で起こります。
目標が高ければ高いほど、どのように目標へ向かうのか?というプロセス無しに到達することは出来ません。
しかし後からそのことに気が付いてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか?
経営者にとって、いわゆる”無謀な計画”をしてしまった事を、期半ばで気が付いて、反省したり悔んでも無駄なことです。
どうすれば目標を達成できるのか、再度綿密に計画を建て直すしかありません。
なんとしてでもやり遂げる
建て直すといっても、こればかりは簡単な事ではありません。
急に社員の目標を設定させたり、強権政治を発動しても反発が広まるばかりです。かえって逆効果になりかねません。
何時の時代も”既に時遅し”ということは無いのです。
ある有名な企業のこんな武勇伝を聞いたことがあります。
期の終了一か月前、年次目標に遠く及ばず幹部も社員も意気消沈としていました。そんな時その会社の社長から、
「すべての責任は私一人にあります。従って本年度を以て会社を閉鎖することとしました。みんなには出来る限りの手当をしますので、どうかこの私を許してください」と
一時落胆した社員達ではありますが、その後奇跡の復活劇によって目標を達成してしまったのです。いったい何があったのでしょうか。
奇跡は必然に起こる
社長の決断を聞かされた社員は全員、あきらめるどころか何としてでも「目標を達成するぞ!」との意識に目覚め、全員一致で怒涛の営業活動を行ったそうです。
普段の社長の人柄によるものなのか、それとも社長の演技によるものなのかはわかりませんが、いずれにせよ社員たちの心に大きな変化が生まれ、全員が奮い立った訳です。
こうなれば、もう誰にも止めることはできません。多々ある奇跡の中でもこのように必然として起こることもあるのです。
つまり、土壇場で必要なことは、技術や能力やテクニックではなく、人の心に震える振舞いなのです。
これが「再度綿密に計画を建て直す」ということなのです。人の心を動かすのは、どこまで行っても人の振る舞いでしか無いのです。