自己防衛本能
通常弱肉強食の動物の世界では敵に出会った時、命の危機を避けるため以下2つの何れかの行動をとる事が知られています。
1.一目散に逃げる。
2.気づかれないようにじっとしている(凍りつく=フリーズ行動)
しかし例外として動物の母親がわが子を連れている際、上記の行動をとらず自分の命を犠牲にしてまでもわが子を守るのです。
一見すると哺乳類によくある「母性愛」として理解できます。
もう一つ動物の群れに敵が迫った場合、群れのリーダーであるオスは命がけで戦う事があります。
ではこれも「母性愛」なのでしょうか?
最近ではこのメカニズムが、生物学誌「eLife」(2017年6月13日号 ポルトガルのシャンパリモード神経科学研究所)の発表によって解明されました。それは、
”オキシトシン”(神経伝達物質)が自己防衛反応を起こす神経回路に作用し、逃げたりフリーズする自己防衛行動を停止している。
というものです。この研究はあくまでもラットを使った実験なのですが、人間の場合も同様の作用が働いているのではないかと考えられています。
人の行動でもよく見受けられる現象であることは間違いありません。
人も守るものが有る時には自己防衛本能を抑え戦い、守るものが無い人は自己防衛反応を示します。
強いか弱いかではなく、守るものが有るか無いかなのです。
”オキシトシン”による注意すべき副作用
人間の場合もこの”オキシトシン”による作用である可能性が高いと思われますが、”オキシトシン”による効能・効果と注意すべき副作用もよく知られています。
効能・効果
帝王切開術<胎児の娩出後>の子宮収縮の誘発・促進
帝王切開術<胎児の娩出後>の子宮出血治療
弛緩出血の子宮収縮の誘発・促進
弛緩出血の子宮出血治療
子宮復古不全の子宮収縮の誘発・促進
子宮復古不全の子宮出血治療
人工妊娠中絶の子宮収縮の誘発・促進
人工妊娠中絶の子宮出血治療
胎盤娩出前後の子宮収縮の誘発・促進
胎盤娩出前後の子宮出血治療
微弱陣痛の子宮収縮の誘発・促進
微弱陣痛の子宮出血治療
分娩誘発の子宮収縮の誘発・促進
分娩誘発の子宮出血治療
流産の子宮収縮の誘発・促進
流産の子宮出血治療
注意すべき副作用
ショック・アナフィラキシー・血圧低下・発疹・発赤・そう痒感・血管性浮腫・呼吸困難・チアノーゼ・過強陣痛
”オキシトシン”の注意すべき副作用については、他にも様々な研究が行われ以下のような傾向がみられることが解っています。
①トロッコ問題のような場合、自国民を優先して助ける。
②仲間への優遇が増え、自分のグループに属さない人は排除する。
③他人を信頼しやすくなり、騙されやすい。
④自分の嫌いな人が何かに成功した場合には嫉妬をかきたてる。
⑤嫌いな人に自分が勝った場合には得意な気持ちにさせる。
簡単に言うと、「自己中心的」になりやすい傾向がある。ということなので、
”オキシトシン”を普段から、たくさん分泌している人は要注意です。