相談内容
最近IMSグループを退職された方から、ある相談をされました。
その相談とは、現在勤務している親戚の会社で分社化を考えているというものです。
本体の会社は商品を仕入れて販売する、いわゆる卸売業です。これまではデパートなどの店頭販売(マネキン)だけに主力を置いていましたが、昨今のコロナ禍の影響を受けデパート事態が自粛し、売り上げが激減しているそうです。
そこで相談者が考えたのは、商品の販売方法として”ネット販売”を新たに模索したそうです。上手くいくかどうかわからないので、本体の会社からこの部門を相談者が出資して分社したい!との事でした。
IMSグループでは多々の分社実績がある事を、相談者が知った上での相談でした。
私の印象では「今更ネット販売?」と思いましたが、分社することのメリットは少なくないので相談に乗ることにしました。
詳しく事情を聞いてみると、
①親戚の会社に勤めているがゆえに社会保険に入れてもらえない。
②経理作業が未だに手書きだったり、パソコンのOSも未だにWindows7。
③社長はもう80代で後継者の息子も、あまりやる気がなさそう。
④これまで相談者が、色々と業務の改善を行った。
⑤分社の条件はインセンティブとしたい。
などでした。
「ところで、社長さんはこの分社化に対して賛成なの?」との質問に「おそらく賛成してくれる」との返事でした。
相談者なりの理由は「今売り上げが激減している事の対策として”損”は無いはずだし、分社のリスクはすべて相談者にあるのだから」というものでした。
いずれにせよその会社から分社するには、そこの社長さんと直接話をしなければならないので、「後日、社長さんとの面談をセッティングしてください」とお願いしたのです。
後日の結果
それから数日たち、相談者から謝罪の返答がありました。どのような内容かというと、
社長に話をしたら、
「今はそんな場合ではない!」
「やりたければ会社を辞めて勝手にやれば良い」
との、何ともつれない返事だったそうです。
相談者的には、
「どうやら自分のためだけにやりたいと思われた」
「会社が大きく変化していることに気が付かず、自分はドツボにはまるようです」
相談者的には”自分の浅知恵”だったようです。との弁でした。
相談者から私に「せっかく分社の相談に乗ってもらったのに早とちりでした」との謝罪を受けましたが、私からすると以前の仲間の相談に乗っただけで、まだ謝罪されような段階でもありませんから「気にしないでいいですよ。色々あるけど前を向いて歩きましょう」と返答した次第です。
推察
実際のところ、親戚である社長さんと相談者の関係はよくわかりませんが、決して”浅知恵”ではありません。
相談者なりに役に立ちたいとの思いが先行しただけの事です。
社長さんからすると、急に訪れた困難に対して如何に対処するべきか大変悩んでおられると思います。そこに何の苦労も無い相談者から安直な提案を受け、ついつい厳しい言動になったのだと思います。
やはり社長としては、今を何とかしないといけない訳で、この先上手くいくかいかないかわからないような提案は受け入れられないでしょう。
平常時ならともかく、この緊急時に必要な提案は、”今をどう切り抜けるか”の提案でなければならないでしょう。
”今をどう切り抜けるか”の提案が採用されたならば、分社化の提案も真剣に検討されるはずです。
まずは自分のことはさて置き、相手の手助けをする気持ちが重要なのではないでしょうか。