「時間は存在しない」(初版発行:2019年8月 著者: カルロ・ロヴェッリ)という著書はご存じでしょうか。
著者は1956年生まれの理論物理学者
この世は、物ではなく出来事で出来ている
著書の第6章にこのようなタイトルがあります。そもそも「時間は存在しない」という時点で、思考停止してしまいそうですが、この章に面白い事が書いてあるのでご紹介します。
物と出来事の違い、それは前者が時間をどこまでも貫くのに対して、後者は継続時間に限りがある点にある。物の典型が石だとすると、「明日、あの石はどこにあるんだろう」と考える事が出来る。
一方キスは出来事で、「明日、あのキスはどこにあるんだろう」という問いは無意味である。
この世界は石ではなく、キスのネットワークで出来ている。
何を言っているのかさっぱり理解できない。という人もいると思いますが、博士曰く量子力学から考えると「物が在る」という観点では、この世界を理解できず、出来事同士の関係に基づいたほうが、理解しやすい。という見解なのです。
時間が存在しないラプラス変換
興味がある人は、ぜひ著書を手にしてください。きっと眠くなると思いますが、時間は人間の幻想かもしれないということに気付くかもしれません。
ところで前記の考え方から思い出したのですが、高等数学に微分方程式などの時間関数を、複素数関数に変換して解を求めるテクニックと、非常に考え方が似ていると思いました。
このテクニックをラプラス変換と言いますが、単に解を求めやすい事に特化しています。もう少し詳しく言うと微分積分という複雑な計算式が、ラプラス変換というルールを使うことで単に掛け算割り算で計算できるということです。
最後に解が求められれば、ラプラス逆変換というルールで時間関数に戻す事が出来るというものです。何に役に立つのかと聞かれても困りますが、電気系の専門分野では頻繁に利用されています。
昔は単なるテクニックとしてしか考えていませんでしたが、この著書を読んで実はこの世界が時間ではなく、虚数を含む複素数で出来ているかもしれないと感じました。
実体とは何だろう
人間関係も出来事が相互に作用しあっているだけに過ぎないのではないでしょうか。「以前こんなひどいことがあった」という時間関数は、いつの間にか「そのおかげで今がある」というように変わることがあります。
この現象は時間関数だけでは解けない難問です。「ひどいことが一生トラウマになる」としか解けません。しかし四則演算だけのルールなら、「以前はこうだったが、その積み重ねで将来こうなる」と導き出せます。
つまり何事も時間が解決するのではなく、出来事の積み重ねと相互作用によって、常に変化するということなのではないでしょうか。
物は虚数で出来ているから、素粒子まで分解し分析すると実態が無く、ぶつけ(掛け算)合うと違う物質に変化し、半分(割り算)にしても違う物質に変化してしまうのではないでしょうか。
まあ、眠くなるだけでしょうから、とりあえずここまでとします。